【STEP3】読まれる文章はキザっている
Threadsを見ていると、こんな投稿が流れてきます。
「継続が大事な理由」
「読まれる文章の3つのコツ」
「発信を続けた結果、こうなりました」
とくに違和感なく読めますよね。
最初の一行を見た瞬間に「ああ、こういう話ね」と先が分かる。ただ、悪く言うとサプライズがない。そして印象に残らない。翌日には誰が書いたかも忘れています。
この原因は、文章がなめらかすぎるのです。
ギザりとは何か

論理的に整理された文章は読みやすいです。
「結論→理由→まとめ」という構成で書けば確かにスッキリします。
でもそれは論文のフォーマットで、何かを手早く伝えるには向いていますが、人の心を動かすには無駄がなさすぎます。
人の記憶に残る文章には、ギザりがあります。ギザりとは、文章の凸凹のことです。
予測を裏切る展開、急に砕けるトーン、感情がむき出しになる瞬間。そういう「でこぼこ」が、読んでいる人の脳を揺さぶります。

事実だけササっと書くと、情報だけ持っていかれてあなた個人の印象は残らない。
でもギザった文章を書けば、読者は感情移入して、あなたのことが好きになるかもしれないし、嫌いになるかもしれない。どちらにせよ感情が動くので、印象に残ります。
ギザった文章の実例

同じテーマで書いた2つの文章を用意しました。
【なめらかな文章】
大学生のとき、FXで損失が続いたことがあります。
資金が少ない状態で焦って取引すると判断が鈍くなり、さらに損失が増えるという悪循環に入っていました。
その経験から、メンタル管理の重要性を学びました。
【ギザった文章】
大学生のとき、FXで完全に迷走していた時期があります。
資金は溶けていく。焦れば焦るほど負ける。バイトした方が100倍マシな精神状態でした。
そんなとき「聖杯」とか「短期で確実に勝てる手法」という言葉が、本当に救いの光に見えてくるんです。
でもあれって、深海魚のチョウチンアンコウみたいなものです。光に引き寄せられて近づいたら、丸呑みにされるだけ。同じ過ちを繰り返して、気づけばまた資金が半分になっていました。それでも続けていた理由は、ローソク足の分析が純粋に面白かったから。チャートをずっと眺めているうちに、「このパターン、成功率高いな」「ここだけ狙えばいい」という感覚が育ってきました。
チャンスを待てるようになった瞬間、ふと思ったんです。
あれ、、俺もしかしてイケんじゃね?
どちらが記憶に残りますか?
前者は正しいし読みやすい。でも翌日には忘れる。
後者は多少クサいし、自分に酔っているとすら感じるかもしれません。それがギザりです。
ギザっているということは、嫌う人も出てくるということ。でも同時に、強く刺さる人も出てくるということです。
「99人に嫌われても、1人の大ファンが生まれればいい。一番まずいのは、嫌われも好かれもしない文章だ」という言葉がありますが、SNS発信でもまったく同じです。
ここで重要なのは、バズった投稿よりも、いいねが1個しかつかなかった投稿の方がコアなファンを生んでいるケースが多いということです。
「これ滑ったな」と捨て置いた投稿から、めちゃくちゃ濃いファンが釣れていたりします。
浅い「いいね」30個より、深い「いいね」1個の方が価値があります。なぜなら前者は共感ボタンを押しただけですが、後者は「この人、買う」につながるからです。
なめらかで万人ウケする文章は、結果的に誰にも刺さらない文章になります。
ギザりを作る4つの技術

①先が読めない一文目を作る
冒頭で予測を外すだけで、文章の引力が変わります。
「大学生のとき損失が続いた」と書けば、読者は続きを予測して止まります。「大学生のとき、FXで完全に迷走していた時期があります」と書けば、続きが読みたくなる。
「え、なんで?」「どうなるの?」と思わせることができれば、あとは自然と引き込まれます。最初の一文に、結論も要約も入れる必要はありません。むしろ入れない方がいい。
②動機を細かく描写する
「なぜそう思ったか」を主張。ミステリー小説で犯人の動機が気になるように、行動に至るまでの心の動きを丁寧に書くほど、読者は引き込まれます。

結論だけサクサク書くと文字数は少なくて済みますが、感情移入には適しません。
「嫌だった」ではなく「頭を金属バットで殴られたような感覚がした」くらいの解像度で書くことで、読者の脳に場面が焼きつきます。
体験を言語化するときは、感情の温度をそのまま乗せることが重要です。
③ですます調とタメ口を混ぜる
感情が高まった瞬間だけ、一文だけタメ口にします。
ずっと丁寧語で整えられた文章の中で、一瞬崩れる場面の方が人間らしく見えます。
読者はそこで感情移入します。「あ、この人の素が出た」と感じる瞬間が、文章への親近感を生みます。

全部タメ口にする必要はないです。8割ですます、2割タメ口。このバランスが、読者に「整っているようで、生きている」印象を与えます。
④重要な一文を繰り返して強調すること
「私は走った。人の目を気にすることもなく、無我夢中で走った」という構文です。
最初に短く事実を書いて、次の文で「どのように」を描写しながら同じ動詞で締める。一文で終わらせるより、その場面がグッと強調されます。
「メロスは激怒した」があれだけ印象に残るのは、短さと力強さが合わさっているからです。繰り返しを使える場所を投稿の中に一か所だけ意図的に作るだけで、全体のメリハリが変わります。

誰にも刺さらない文章の正体

整理されていて、論理的で、誤字もない。でも翌日には忘れられます。
「ちゃんと書いているのに反応が取れない」という状態の人は、文章がなめらかすぎます。
引っかかりがない。読者の感情が動く場所がない。
読まれているのではなく、流されているだけ。
もう一つ、誰にも刺さらない文章になるパターンがあります。それは、一貫性がない文章です。
今日は副業の話、明日は筋トレ、明後日はダイエット。コロコロ変わる投稿は「この人、何者?」となります。一貫性があるからこそ「この人なら、こういうことを言うだろうな」という安心感が生まれ、フォローされます。
ギザりを作るのは文章のでこぼこですが、発信テーマはぶれない。この組み合わせが重要。
ギザりは、テクニックではなく姿勢の問題です。
整えることより正直に書くことを優先する。読まれることより伝わることを優先する。そういう姿勢が文章に出たとき、それがギザりになります。
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